特集　LiSA×シャングリラ・フロンティア　インタビュー

夜襲のリュカオーン戦の、
サンラクのセリフがダントツに好き

――「QUEEN」は現在開催中のツアーでも披露されているそうですが、お客さんからはどんな反応がありましたか？

LiSAツアーの初日に、「新曲やります！」と一言も言わずに、いきなり歌いました（笑）。今回のツアーには昔の曲もたくさん入れているから、最初はファンの方たちも「これ、何の曲だっけ？」ってなっていたと思うんですけど、じわじわ理解してもらえているみたいです。この曲へのアプローチは、「めっちゃ盛り上げる！」というよりは、どちらかというと「QUEENらしく振る舞う」、カッコよく歌うことを心がけています。

――「QUEEN」は、これまでアニメ作品の主題歌としてリリースしてきた曲たちの中でも、かなり激しめな曲ですよね。

LiSAはい。ハードな曲はこれまでにもあったけど、作品の中でここまで寄り添って歌わせてもらうのは、（「ソードアート・オンライン アリシゼーション」主題歌の）「ADAMAS」以来なんじゃないかな、と思っていて。「ADAMAS」も、わたしの中ではチャレンジでした。「ソードアート・オンライン」で歌わせてもらってきた曲の中でも、「ADAMAS」は特に骨太で力強い曲ですけど、「QUEEN」のサウンド感はそれに近いかな、と思います。去年からツアーを再開して、それまではお客さんの声がない状態のライブが続いていたから、その中でできることを自分の中で示してきましたけど、声が解禁された世界で、みんなの声が合わさった会場のパワーを発揮するのも、わたしのライブのすごく大切なところだなって実感していて。そういうモードだったのと、あとは、久しぶりに「（LiSAの曲の中でも）辛いもの食べたい！」みたいな気持ちが、楽曲に反映されています（笑）。

――（笑）主題歌を担当するにあたり、原作を読んでアニメもご覧になっていると思いますが、「シャングリラ・フロンティア」にはどんな印象を抱いて、どこに魅力を感じたのでしょうか。

LiSAすごくリアリティがある、と思いました。みんながゲームの中で友達になって、冒険をして――それぞれは基本ひとりだけど、パーティーを組んだり組まなかったり、新しい仲間が増えたり、新しい友達が増えたり、ゲームの中のコミュニティがリアルに表現されている作品だなって感じています。原作は、タッチも含めて、少年マンガらしい印象でしたし、アニメも観たことですごく身近に感じられました。それは声優さんの力であり、絵の力であり、作品全体の色合いの影響も大きいのかな、と思います。

――特に好きなシーンやセリフはありますか？

LiSA夜襲のリュカオーン戦のサンラクのセリフです。「逃げる？　俺は、コレを楽しんでるんだろうが！」がダントツに好きでした。

――そのシーンも含めて、「シャンフロ」はサンラクのモノローグがものすごく多い作品ですが――。

LiSAそうですね（笑）。アニメの1期の最初は、（サンラク役の）内田雄馬さんがほぼひとりでしゃべっていますけど、あれだけひとりでしゃべって退屈させないところ、決して説明っぽくならない技量がすごいなって思いました。

――「QUEEN」の楽曲制作時に、自身と「シャングリラ・フロンティア」を重ね合わせられると感じた部分について教えてください。

LiSA今回の楽曲制作のときに、1期の音楽制作をしていたFZMZ（ファゾムズ。「シャングリラ・フロンティア」OPテーマ「BROKEN GAMES」でデビューした5人組覆面アバターバンド）のメンバーが、「シャンフロとはなんぞや？」を説明してくれました。彼らはすごくゲームをするので、その話を聞いて、生死がかかった物語を描く作品というより、「シャンフロ」はポップな話なんだと思って、マンガを読み始めたんです。そうしたら、夜襲のリュカオーン戦でエモーショナルなセリフがたくさん出てきて。ゲームの中のことを描いていながら、人生にとっても大切なセリフになってしまうような、そういうことを考えながらゲームしている人もいるんだな、と思いました。ゲームの中での人間関係や、何かを攻略していくこと――たとえばわたしだったらバンドの活動で体験してきたような人間関係を、ゲームで学んでいくこともあるんだなって思って。「逃げる？　俺は、これを楽しみに来てるんだろうが！」というセリフって、部活の最後の試合で言いそうじゃないですか。そこに、グッときました。

「シャンフロ」は、
青春マンガを読んでいる感じがする

――「QUEEN」では、共作という形で作曲に関わっているんですよね。

LiSAはい。最初に「LiSAが何をしたいのか？」を聞いてもらって、さらに「シャンフロで何をしたいのか？」を話していたときに、今年はリリースする楽曲があって――「Shouted Serenade」（TVアニメ「魔法科高校の劣等生」第3シーズンオープニング主題歌）で「Rising Hope2」と呼ばれるような曲を作って、「ブラックボックス」（アニメ「NieR:Automata Ver1.1a」オープニングテーマ）で悲壮感のある悲しみを歌いました。その次に何をやるのか？を考えたときに、「シャンフロ」は1期でFZMZが自由に音楽を作っていたから、制作するときにとっても自由度が高かったんです。「シャンフロ」はバトルシーンも印象的な作品だけど、わたしの中で「色のイメージ」があって、カラフルな感じを楽曲で作れないかな、と思いました。いろんなキャラクターがたくさん出てきて、それぞれが印象的でかわいいから、いろんな要素が混ざった曲を作りたいな、と思って、「QUEEN」ができました。

――いま話してくれた通り、個性的なキャラクターがたくさん登場する「シャンフロ」ですが、「推し」は誰ですか？

LiSAタイプとしては、オイカッツォが好きです。見た目もかわいいし、3人で墓守のウェザエモンとの戦いに行くときに、抜けているところもありつつちゃんと強くて。サンラクとはもともと友達だけど、アーサーにも連絡しちゃうような、間に入ってくれる彼が好きです。

――「シャンフロ」の世界に1日行くとしたら、誰になって何をしたいですか。

LiSAエムルになりたいです。一生懸命、人間の姿になっていたいです（笑）。エムルもかわいいですよね。

――まだ「シャンフロ」のアニメを視聴したことがない人、マンガを読んだことがない人にオススメするとしたら、どんなポイントを薦めますか？

LiSAわたしの中で、「シャンフロ」は青春マンガを読んでいる感じがするんです。

――確かに、その要素はあると思います。

LiSAはい。スポ根ものを読んでいるような気持ちにもなる。ガワはゲームだけど、友情とかも描かれていて。ただ楽しむというより――オイカッツォはプロゲーマーだけど、みんながゲームをただの遊びではなく、必死でやっているところが好きで、そこが面白いと思いました。あとはやっぱり、キャラクターがかわいいところもオススメです。サンラクもオイカッツォもアーサーも、みんなキュートだから。

――dアニメストアで「シャンフロ」を楽しむ人に、メッセージをお願いします。

LiSA「QUEEN」という楽曲は、「自分がQUEENであること」を疑わずに、自分自身を信じ抜いて証明していく曲ですが、たとえばわたしはステージにいるとき、「負ける」と思うことがないんです。それは、「ちゃんと戦い抜く」という気持ちの表れで、「QUEEN」はそういう気持ちを歌った曲です。ゲームをする、仕事をする、何かに挑むときに、「QUEEN」を聴いてもらって、心を整えるような曲になればいいな、と思っています。「シャンフロ」の中で、サンラクたちは挑むことを楽しんでいるけど、それって絶対に勝つためにやっていることですよね。その爽快感や彼らの諦めない気持ちと、作品や曲をリンクさせながら、楽しんでもらいたいです。

――最後に、今年の12月まで続くLiSAさん自身のツアーへの意気込みを聞かせてください。

LiSA今回のツアーは、SWEETとSOURっていうテーマでやっていて、日ごとに内容が違うライブになっています。結果として自分で自分にハードルを課しながら――そこはサンラクと一緒で、このヒリヒリ感を自分は超えられると信じたいし、超えたいと思っています。自分にハードルを課した状態から、それを超えることですごくいい景色が見えるのも知っているから、自分に挑み続けるようなライブ、ツアーになったな、と実感しています。