『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の公開を記念して、主題歌を担当するアーティストへのスペシャル・インタビューをお届けします! 今回登場いただいたのは、「from the edge」「炎」「明け星/白銀」に続き梶浦由記さんとのタッグとなった楽曲「残酷な夜に輝け」を歌唱するLiSAさん。『テレビアニメ「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編』がスタートした2019年から、音楽で作品に寄り添われているLiSAさんに、楽曲と「鬼滅の刃」への熱い想いを語っていただきました。
今回の武道館のライブを作る上で、
1曲目は絶対に「明け星」でした

――まずは、「明け星」を1曲目に披露した5月の日本武道館ライブを振り返っていただきたいです。本当に素晴らしかったし、LiSA自身としても最高のライブができた感触があったんじゃないですか。
LiSAそうですね。自分の中で、今できる限界をやりきることが自分のライブのスタイルだから、武道館の 2日間もそういうライブになりました。ある意味ごまかしがきかない、音楽や歌のすべてがあからさまになってしまう状態で、「歌に集中してください!」というアレンジにしたし、「音楽に集中してください!」という演出にしたし、お客さんも研ぎ澄まして観ないといけない、聴かないといけないライブだったし、本当に全員が集中しているような、研ぎ澄ましたようなライブだったと思います。そこは今回の目標にしていて、予想している最高じゃなくて、見たことがない、味わったことのない最高地点へ行く、みたいな感覚がありました。やっぱり、そこにはライブでしかたどり着けないんです。マラソン選手とかもそうだと思うんですけど、それをゾーンに入るって言うのかなと思っていて。その果てしないゴールに、みんなとたどり着いた達成感がある2日間でした。
――2024年のアリーナツアーでは、巨大なショウとしての完成度の高さを見せつけるステージを披露していましたが、今回は音楽や歌に対して研ぎ澄まされたライブを作りたい、という意識があったんですね。
LiSA実は「LiVE is Smile Always~COCKTAIL PARTY~」(2024年9月~12月のアリーナツアーのタイトル)の初日から、そのことを考えていました。最高のライブができているし、これ以上最高なエンタメはわたしには作れないんじゃないかって思っていて。でも、そのエンタメを追求していくのもありだけど、 デビュー15周年の前に自分の足元を確かめておきたい気持ちもありました。たとえばコンソメとか鶏ガラのようなもので、どんどん味を濃くしていかなければいけなくなって、自分でもそれがよいと思ってしまいそうな気がしていて。だから、自分のやりたいことがわからなくってしまうような気がして、怖い部分もありました。「COCKTAiL PARTY」のライブが最高だったから、今度は「原点に立ち戻る」じゃないですけど、 15周年の前にちゃんと自分のやりたいことを確かめておきたい、と思っていました。
――「今日は歌をしっかり聴かせる聞かせるライブなんだ」ということは、武道館2daysの1曲目が「明け星」だった時点で会場中がそれを感じたんじゃないかな、と思います。パフォーマンスとしても迫力と圧がすごくて、かつてないスケールになっていたと思いますが、2日間の「明け星」をどう振り返りますか。
LiSA今回の武道館のライブを作る上で、 1曲目は絶対に「明け星」だったんです。ただ、「明け星」をそのまま歌うのではなくて、LiSAのライブはすごいチームでやっているから、そのすごさをちゃんと知ってほしかったところもあります。歌い出しから最後まで今回のアレンジでやりきることで、曲の「飾らない本質」、曲の中にある本当の悲しみを、飾らずに表現したかったんです。それはすごくチャレンジングなことで、観てくれるみんなのことを信じているけど、自分の「歌力」はどこまで信じてもらえているか、どう受け取ってもらえるか、という不安もありました。アレンジを大胆に変えていて、わたしも歌ってみないとステージ上の状況もわからないし、自分の体調もその日によって違うから、その不安を持った状態で 1曲目に「明け星」を持ってくるのは、わたしにとってはチャレンジングでした。
――とはいえ、武道館のライブでは毎回自分を試すような選曲をしてますよね(笑)。
LiSAははは。そうですね。
――「明け星」はリリースから3年以上の時を経ていますが、いま「明け星」はご自身の中でどんな存在になっていますか。
LiSA特に自分が作詞に関わっていない楽曲の場合、自分自身がちょっと「筋肉痛」になるというか、自分が歌いたいことが研ぎ澄まされて入っているかというと、自分が持っている一部を使った表現、みたいな感覚が強いです。それは「oath sign」も「crossing field」も「明け星」も同じで、そういう曲が気づかせてくれる自分の内面、みたいなものがすごくあります。作品の主題歌としてという部分を背負わなくてはいけないという気持ちもあるので、ライブでアレンジを変えることが難しくて。アレンジを変えることでみんなの思い出の中にある「明け星」を崩してしまうような気がして、それが怖かったし、梶浦さんが表現として託してくれたアレンジまで含めての音楽なので、その意味でわたしが自由にしていい曲ではないな、と思っていました。武道館の初日には梶浦さんが来てくださっていたので、めちゃくちゃドキドキしました(笑)。「明け星」も「炎」も、かなり大胆なアレンジにしていたので。わたしの楽曲の好きな部分が、アレンジを変えたときに出てくるところがあって、武道館での「明け星」は、わたしの中で最初に受け取った「明け星」の印象に近かったと思います。
――それを今回、音として表現したということですね。ご覧になった梶浦さんはなんとおっしゃっていたんですか。
LiSA「素晴らしかったわあ」って言って、感動してくださってました。よかったです(笑)。

わたしも覚悟を持ってやりぬいていることがあるから、
初めて「鬼滅の刃」を読んだときに共感した
――『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の主題歌となる「残酷な夜に輝け」ですが、「鬼滅の刃」に関わるのは「明け星/白銀」以来になります。LiSAさんの楽曲が「鬼滅の刃」のアニメーションの主題歌になることを待望していた人もたくさんいるのでは、と想像しますが、主題歌を担当することが決まったときの気持ちから聞かせてもらえますか。
LiSAわたしも、「無限城編」は誰が担当するんだろう?って思っていました。Aimerちゃんと自分に任せていただいて、しかも「無限列車編」でご一緒させてもらった梶浦さんと今回もご一緒できるということで、すごく嬉しかったし、光栄でした。
――「残酷な夜に輝け」はすさまじい楽曲で、大げさじゃなく最初に聴いたときちょっと震えました。
LiSA想像を超えるというか、常識を覆す曲です。誰も想像できなかったような曲なんじゃないか、と思います。
――ある意味でシンガー・LiSAの集大成とも言える内容というか、強さも繊細さも深みも優しさも全部入っていて、なおかつこれまで積み重ねてきた技術も投影されている点でも、すごみを感じました。
LiSA曲でいうと、構成がすごく多いし、いろんな場面に対してあてはまる言葉が入った楽曲なので、おのずとそういう表現になったと思います。この曲が表現できる筋肉をつけておいてよかったな、と思います。
――曲に求められて開けていく引き出しがいっぱいある曲という印象ですが、曲に呼応して全部開けていってる、全部出せている感じが素晴らしいな、と思いました。
LiSAそうですね。これまでに梶浦さんと作ってきたものが、ふんだんに入っています。この曲を作っているときに、「悲壮感のある楽曲を歌うときでもわたしの声だと少しキラっとしちゃうから、希望のほうが強くなってしまうんです」って、わたし自身の半分悩みみたいなことを、梶浦さんに相談したんです。梶浦さんは、「それを持っている人が少ないから、LiSAさんのそこがいいんじゃない。それがポップスになれるのよ」って、褒めて認めてくださって。そのあたりが、たぶんサビのところに現れているんじゃないかな、と思います。
――なるほど。一方でこの曲では、悲壮感もしっかり表現されているように思います。
LiSAそれはやっぱり、「炎」で梶浦さんがわたしを目覚めさせてくれて、その上での表現だと思います。梶浦さんは難しい曲もたくさん作られますけど、基本的には歌い手のことをすごく考えてくださる方で、ワンコーラスをきちんと成立させる楽曲作りを意識してくださっているんですね。「残酷な夜に輝け」も、はじめにワンコーラスを作って送ってくださったんですけど、実はそのときは今とサビが異なっているんです。梶浦さんとしては、この決戦という過酷な戦いに際して、「どう悲しみを表現するか」を大事に作られていて。そこで、「わたし、直接梶浦さんとお話ししていいですか ?」とお願いして、スタジオにお邪魔して、ふたりだけで会話をする時間をたくさんいただきました。他愛もない話から、お互いの好きなこと、楽しかったこと、最近の経験とかをお話しながら、今の自分としては、みんなの総力戦で戦う「無限城編」なので、ここまで戦ってきたみんなを抱きしめてあげられるような――そんな歌になるといいなって思ってます、とお話ししたら、梶浦さんがサビを含めて書き換えてくださったんです。
――直接コミュニケーションを取ることで曲も変化したり進化したりしていくし、お互いのやりたいことやできることが、どんどん曲に反映されていく、ということですね。
LiSA「鬼滅の刃」は、関わる方もみんな同じ方向を向いていると思っていて。梶浦さんが素晴らしい方なのは、物語のためを思っているし、わたしのことも思ってくださっていて、それを音楽にするプロなので、全部を受け取った上で楽曲にしてくださるんです。「自分はこう思ったからこれです」ではなく、みんながこの作品に向かって、みんながわたしの歌に向かってやってくれている。結果、こういう楽曲になったんだと思います。梶浦さんは本当に、人として素晴らしいです。
――「紅蓮華」「炎」「明け星/白銀」も含めて、作品に関わっている回数も多いわけですが、「鬼滅の刃」という作品に対して「LiSAだからこそ返せる・提供できること」って何だと思いますか。
LiSAたくさんのアーティストさんが持っていることだと思うんですけど、「LiSAをやる覚悟」があるからだと思います。鬼殺隊や鬼も、いろんなことを背負いながらも戦いに挑む覚悟を持っていますよね。わたしも覚悟を持ってやりぬいていることがあるから、初めて「鬼滅の刃」を読んだときにそこに共感したし、それはずっと変わらないです。「鬼滅の刃」では、生きるか死ぬかの因縁を背負って鬼になる選択をした人と、大切な人を殺されて、絶対にみんなが幸せな世界にしたい人が、命を懸けて戦っている。わたしも、LiSAに命を懸けて戦っているから、そこの共鳴、共感が、自分ができることだと思います。
――「紅蓮華」のリリース当時、先程おっしゃっていたことと同様に「鬼滅の刃」への共感の理由を話していて、実際に歌詞にも投影されていましたけど、いろんなことを背負いながらもそこからの反発という側面も「LiSAらしさ」に重なるところはあるんじゃないですか。
LiSAそうですね。わたしが共感してしまう理由は、そこだと思います。
――「明け星」もステージで進化した姿を見せてくれましたけど、この曲も楽しみですね。
LiSAまだ自分も想像できていないですけど、いくらリハーサルをしても、ライブの本番で歌ってみないとわからないことがあって。自分がこの曲をライブで歌って何を感じるのか、すごく楽しみにしています。

煉獄さんのことは、
いま話していても泣きそうです(笑)
――ここからは「LiSA的『鬼滅の刃』の楽しみ方」というテーマでお話を伺っていきたいのですが――。
LiSAまずは、雪景色が美しいです。わたしが最初にufotableさんとご一緒したのが「Fate/Zero」だったんですが、「光の入れ方がめちゃくちゃきれいだな」って思ったんです。その表現がさらに研ぎ澄まされていって、いま皆さんが全力を注いでいる「鬼滅の刃」は、とにかく雪景色が美しいと思ったことが何度もあります。キャラクターだと、あいくるしい表現をするキャラがいっぱいいるから――「無限列車編」で言うと煉獄さんの「うまい!」もそうだし、善逸もいつもコミカルな役割をしてくれるし。悲しくてつらい部分もあるお話なんだけど、みんなの明るさや無垢なキャラクターのおかげで、作品の中でほっとできるところがあります。ただ苦しいだけではなくて、人間味のあるところ――ライブで言うとMCを観ているような、キャラクターの人間らしさが出ているところはすごく好きです。それに、教えがいっぱいありますね。大切なセリフ、グッとくるセリフ、共感できるセリフがたくさんあります。
※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記となります。
――鬼殺隊だけではなくて、鬼側にも理解とか共感できる部分がありますよね。
LiSAそうなんです。「めっちゃわかる!」と思うキャラクターが増えちゃって困っているんですけど(笑)。鬼殺隊側ですが、煉獄さんはもちろん、わたしは時透無一郎もすごく好きで。無一郎の物語の、無の意味というか、自分の大切なことを見つけてもらえて、それを知った無一郎には、「見つけてもらったわたし」という意味で共感して、LiSAと重なるところがあると思ってるので、すごく好きです。
――好きなエピソードとかシーンはどこになりますか。
LiSAやっぱり「無限列車編」です。煉獄さんとお父さんとの関係とか、戦っている人の過去を知る場面が印象的です。
――「炎」のリリース当時、煉獄さんの物語をマンガで読んで、1時間ゴリ泣きしたという話がありましたが――。
LiSAゴリ泣きしました。飛行機の中でした(笑)。やっぱり煉獄さんの生き様――それこそ猗窩座に鬼にならないかと言われても、自分の示す自分であり続けて、あの最期を迎えたのが、わたしの求める最高です。煉獄さんのことは、いま話していても泣きそうです(笑)。
――(笑)今回の劇場版について、いち観客として特に楽しみにしていることは何ですか ?
LiSA全部! 本編を見せてもらったときも、やっぱりお話が素晴らしいし、映像や音楽も素晴らしいですし、声優さんたちも本当にすごいです。そこに全体の半分くらいは泣いていたと思います(笑)。
―― 「鬼滅の刃」と出会ってから長い時間が経つと思いますが、いま改めてこの作品をオススメしたい理由について教えてください。
LiSAやっぱり覚悟を持って生きている人や、自分に信念を持って生きている人は、誰かしらに共感してしまう作品だと思います。信念を持ってない人が、誰も出てこないですからね。サブキャラみたいな存在が、誰もいない。信念を持って生きている人は誰しも共感してしまうところが絶対にある作品だと思います。だから、「自分を見直す」ではないですけど、自分の心が新たに動く場面を探しながら観て見てもらえると、より楽しめると思います。
鬼となった妹・禰豆子を人間に戻すため鬼狩りの組織《鬼殺隊》に入った竈門炭治郎。
入隊後、仲間である我妻善逸、嘴平伊之助と共に様々な鬼と戦い、成長しながら友情や絆を深めていく。そして炭治郎は《鬼殺隊》最高位の剣士である《柱》と共に戦い、「無限列車」では炎柱・煉獄杏寿郎、「遊郭」では音柱・宇髄天元、「刀鍛冶の里」では、霞柱・時透無一郎、恋柱・甘露寺蜜璃と共に激闘を繰り広げていった。
その後、来たる鬼との決戦に備えて、隊士たちと共に《柱》による合同強化訓練《柱稽古》に挑んでいる最中、《鬼殺隊》の本部である産屋敷邸に現れた鬼舞辻無惨。お館様の危機に駆けつけた《柱》たちと炭治郎であったが、無惨の手によって謎の空間へと落とされてしまう。
炭治郎たちが落下した先、それは鬼の根城≪無限城≫―
”鬼殺隊”と”鬼”の最終決戦の火蓋が切って落とされる。
※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記となります。
※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記となります。
※鬼舞辻の「辻」はしんにょうの点が1つの字が正しい表記となります。
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』公式サイト
https://kimetsu.com/anime/mugenjyohen_movie/
※本キャンペーンは終了しました。
たくさんのご応募ありがとうございました。
▼ キャンペーン詳細 ▼
2011年4月20日デビュー。「Fate/Zero」「ソードアート・オンライン」「魔法科高校の劣等生」「俺だけレベルアップな件」など、数々の人気アニメ作品で主題歌を務める。「鬼滅の刃」のアニメーションでは、「紅蓮華」(2019年)、「炎」(2020年)、「明け星/白銀」(2021年)と、これまでに主題歌を三度担当。『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の主題歌「残酷な夜に輝け」は、7月23日に通算24枚目のシングルとしてリリースされる。9月27日(土)からは、全国ホールツアー「LiSA LiVE is Smile Always〜PATCH WALK〜」を開催。
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable










