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いちおし

アニメ配信スタート!「紫雲寺家の子供たち」特集

4月からTVアニメがスタートする「紫雲寺家の子供たち」。
アニメ化を記念して、原作の宮島礼吏先生にお話を伺いました!
ここでしか読めない宮島先生自身による「キャラクター解説」も…?
アニメもコミックも、「紫雲寺家の子供たち」をdアニメストアで楽しんでください!

2022年2月に「ヤングアニマル」で連載を開始した、「彼女、お借りします」の宮島礼吏先生による「禁断の兄弟姉妹ハーレムラブコメディ」。東京都世田谷区にある紫雲寺家の長男・新は、美女姉妹に囲まれた日々を「ハーレムラブコメ」と言われながらも、自身は奥手で気になる同級生にも告白できず、悶々と過ごしていた。ある日、7兄弟姉妹が集まる誕生日会の席で、父親から衝撃の事実が告げられて――?

「アニメになったら嬉しいな」と想定していた作品で、実際に1話を観ても、やっぱりアニメ向きだなと思った

――「紫雲寺家の子供たち」のアニメ化が決まって、どんな想いがありましたか?

宮島:わりとアニメ映えする作品だと思っていたので、そういう意味でも嬉しかったです。原作とは違う部分も見せられるんじゃないかとも思うので、期待も込めて嬉しかった、という感じですね。

――完成した1話の映像をご覧になられて、どんな印象を持たれましたか。

宮島:すごく絵が上手で、感動しました。原作では描かれていない合間の仕草や細かな動き、コマとコマの間にあるキャラクターの動きってあると思うんです。そういうところまで解釈を広げつつ、ちゃんと描写していただいて、華やかでにぎやかでもあって、観ていて楽しかったです。

――1話をご覧になって、宮島先生の中で何か発見はありましたか?

宮島:マンガにはない画角や構図があって、そこがよかったです。個人的には、謳華が新の部屋に入ってきて、去っていくときの絵が斜め下からのアングルになっていたんですけど、難しいアングルだけどかわいく描かれていて、「これを描ける人は何でも描けそうだな」と思ったので、きれいな作画でやっていただけるのは嬉しいです。

――アニメの収録をご覧になって、印象的だったことはありますか。

宮島:キャラクターが多いので、男女入り乱れて収録していくわちゃわちゃ感というか、にぎやかな感じは見ていて楽しかったです。絵もきれいだなと思っていました。

――宮島先生の作品では「かのかり」もアニメ化されていて、4期の放送も発表されていますが、ご自身の作品が映像化されることで、先生にとってどんなことが発見や学びになりますか。

宮島:アニメを観ている方と、マンガを読んでいる読者の方は、層が微妙に違うので、マンガのときとは違う反響がもらえるのはすごく勉強になりますし、「なるほど、こう描くといいのか」という作画の面でも勉強になるところはあります。アニメ化してもらえると、自分の作品を改めてじっくり読み返す機会にもなるので、新しい発見もあります。「そうか、こういうシーン描いてたな」「このキャラはこんなこと言ってたな」とか、自分の中でキャラの精度が高まることは、実はすごくあります。

――今後、「紫雲寺家の子供たち」のアニメに期待すること、楽しみにされていることを教えてください。

宮島:最初から「アニメをやってほしいな、アニメになったら嬉しいな」と想定していた作品で、自分でもアニメ映えしそうだな、と思いながら自分でも描いていますし、実際に1話を観ても、やっぱりアニメ向きだなと思ったので、反響が楽しみです。

「紫雲寺」は先々でやりたいことがいっぱい用意された状態で始めているので、正直今後どんどん面白くなっていくと思っています

――「紫雲寺家の子供たち」の連載が始まってから3年になりますが、作品に手応えを感じている点、特に気に入っている点はどこになりますか?

宮島:全体的に気に入ってるんですけど、実は「紫雲寺」は先々でやりたいことがいっぱい用意された状態で始めているので、正直今後どんどん面白くなっていくと思っています。僕もその期待感で描いている部分があって、自分が描きたいシーンに向けて、着々とシーンを積み重ねている感覚があります。ヒロインひとりひとりをとっても、恋愛という意味でエスカレートしていって、感情が高まってくると、1話とは全然違う表情を見せるようになっていくし、話が進むにつれて「この子はこんなことを言うんだ」と自分も発見をしていく過程が楽しいです。この先も、1話からは想像もできないようなキャラクターたちに変わっていくんだろうな、と思うので、その意味でも楽しみです。

――「かのかり」を週刊連載しながら「紫雲寺家」を描くのは、ふたつの連載を並行することになって大変そう、と第三者的には感じるのですが、それでも「紫雲寺」を描きたいと宮島先生を動かした原動力とは何だったのでしょうか。

宮島:「かのかり」って、実はあまりハーレムものではないんですよね。そういう意味ではあまり現代的なラブコメではないような気がしていて、「紫雲寺」のほうがいまっぽいラブコメだと思っています。そういう形のラブコメに一度チャレンジしてみたかった、という部分はあります。

――宮島先生の中で、「現代的なラブコメ」はどう定義されているんでしょうか。

宮島:ざっくり言うと、「主人公が誰を好きになって、誰と結婚するのかわからない」ということです。ハーレムものって、そういうものだと僕は思っていて。「かのかり」はその意味で現代的ではなかったな、とわかって、もう少し現代的な描き方をするとどういうラブコメになるんだろう、と思っていました。ただ僕自身、主人公がまわりの女の子全員に優しくする行動にあまり共感できなくて、だから最近のハーレムラブコメでみんなに優しくしている主人公に感情移入できなかったんです。僕の中では、「無条件に全員に優しくする」というのが、きょうだいじゃないと成立しなくて。きょうだいで長男で、新みたいな境遇だったら、理解できる。だから、実は「紫雲寺」の初期は、新を描きたいと思った部分があります。みんなに優しくする主人公が現代的であるならば挑戦してみたい、だけど自分は感情移入できない。そこで出てきたのが、新のキャラクターなんです。

――新のキャラクターも家族という作品の舞台自体も、必然として設定されている。

宮島:そうですね。個人的にはそれがないと、みんなに優しくしているのがただの浮気性の男にしか見えなくなってしまう感じが、僕の中ではしています。

――新は、読み手がグッとくるようなセリフを放つ人物でもあり、好感が持てるいい主人公だなと思うんですが、彼を描く上で大事にしていることは何でしょうか。

宮島:家族を大事にする気持ちは、誰でもわかるじゃないですか。それに関しては疑いようがなくて。みんなに優しければそのキャラクターを好きになってもらえると思うんですけど、「みんなに優しくする人」が僕の中でリアリティがなくて、存在感も出ない。新も、家族以外には厳しいところもあるでしょうし、でもきょうだいを守るために優しくできるところに僕はリアリティを感じているので、そこがキモになっていると思います。どんな創作でもそうだと思いますけど、キャラクターはみんないいところと悪いところを持っていて、いいところばかりを見せていれば嫌われないんです。でも、それだと話は面白くならない。話を面白くするためには、ダメなところや嫌われるところも全部正直に出していかないといけなくて、それでちゃんと成立させる、バランスを取るという意味では、新のような主人公しかないんじゃないかな、と思っています。

――では、「紫雲寺家の子供たち」の作品全体を描く上で大事にしていること、軸に設定しているポイントは何になるでしょうか。

宮島:新のキャラクター自体が、軸と言えるかもしれないですね。きょうだいを大切にしていることと、家族全体を大切にしていることです。ラストに向けて描いていく上で、踏み外してはいけないシナリオラインはありますが、少なくともキャラクターを無理やり好きにさせたりしないようにしています。そこにちゃんと必然性と、「こうなるよね」っていう納得感が必要で。ハーレムラブコメの中では、みんなから好かれる宿命を背負っていると思うんですけど、それぞれのキャラクターにちゃんと納得のいくドラマが作れたらいいな、とは思っています。

――新に限らず、登場人物を魅力的に描く上で重視していることは何でしょうか。

宮島:嘘を描かない、ということですね。「どこかで見たことのあるキャラクター」を雰囲気でそのまま持ってくるのではなくて、ある程度姉妹内でのバランスもあるし、売れ線のキャラクターとかもありますけど、そういうフォーマットを持ってきたとしても、ちゃんと一回噛み砕いて、自分の中のどういう部分がそういうキャラクターを成しているのかを、自分で自覚しながら描く。結局、それが嘘をつかないということになってくると思います。描き手が「あのキャラクターに似てるな」って感じることはあると思うんですけど、でも「あのキャラっぽくこれを言わせておこう」とはせずに、あくまで自分の言葉でシーンを作っていく、ということです。そうすると、おのずと自分の人間性がキャラクターにも出てきて、他とは違ったものになるのかな、と思います。

――この作品を描いていて、先生自身の人間性が出ちゃってるな、と感じるのはどういう部分ですか?

宮島:それはずっとです(笑)。ずっと出ていると思います。皆さんどうなんでしょうかね? 17年間きょうだいだと思っていた相手が、自分と血がつながっていなかったとわかったときに、好きになれるのか。読者に対しても、そこが根本的に突きつけられていると思うんですけど、正直僕は、めっちゃかわいかったら揺るがない保証はないな、と思っちゃうので(笑)、そこを自問自答しながらですね。「これで本当に好きになれるか?」って。毎回、描くときに考えています。当然のように好きになる流れとして描くのではなく、「15、16年一緒にいたんだよな、その上でこのシーンが起きて、俺は本当に好きになるか?」と毎シーン自問自答しながらやっていて、そういうところで自分の人間性が出ていると思います。僕の中でのバランスと、ある種の言い訳ともいえる理屈付けの部分に、思い切り自分の人間性が反映されているんだろうな、と思っています。

――紫雲寺家の5人姉妹はそれぞれ魅力的なキャラクターだと思います。先生が見てこういうところ、こういう素敵な子だよ、ここが気に入っているよ、というポイントを解説していただきたいのですが。

長女・万里
お姉さんとして新を翻弄してくるキャラクターでもありつつ、一番上の立場、長女なので、面倒見もいい。実は姉妹たちに対しても一番気を遣っているし、使わなければいけない立場でもあるので、そこが恋愛の面でもいろいろ魅力として現れればいいな、という感覚はあります。実は裏では姉妹たちのことをしっかり考えている、ということを踏まえた上で、万里のシーンを見てもらえるといいな、と思います。

次女・清葉
すごく論理的で、五姉妹の中では明らかに恋愛からは一番遠いところにいるように見えると思います。理由もなく人を好きになってしまうところからは最も遠いキャラクターだと思うので、そこは僕としても難しさを感じながら描いてはいるんですけど、だからこそ生まれる「これ、かわいいわ」と思えるシーンが、原作のほうでもどんどん生まれてきているので、そこのギャップを一番楽しめるキャラクターだと思います。

三女・謳華
僕の主観ですけど、「THE 女の子」というか、描いていて楽しいです。元気に楽しくよくしゃべるヒロインで、どうしてもセリフ量も多くなっちゃいます。謳華は実はすごくまじめで、人当たりもよくて、そこの感覚が面白いです。外面がよい設定も意識しながら描いているんですけど、きょうだいだからこそ気を許しているシーンでは、わがままっぷりを出せたりするんですよね。動きも派手で、アニメ向きでもあり、楽しみ方がわかりやすい子だと思うので、あまり説明はいらない気もします(笑)。

四女・南
元気で、一家にひとり欲しいキャラクターだと思います。明るくて前向きだし、元気にさせてくれるし、気を遣える部分もある。実は新も、ある意味頼りにしています。元気さの裏で、頑張っている一面もあって、そこもアニメで描かれると思います。ちょっとおバカに見えることもあるけど、実はちゃんと気も遣える子だし、なにげに癒しだと思います。五姉妹は主張の強い子が多くて、意外と癒しのキャラクターがいないので(笑)。

五女・ことの
むしろ一番爆弾娘で、小動物のようで癒し系かと思いきや、実は一番派手な事件を起こしていくタイプの子です。ああ見えて、きょうだいの仲を一番ひっかきまわしていて。それは新のことを好きだからこそで、感情が昂った結果そうなっているので、憎めないし、好きさあまってひっかきまわしてしまうところを楽しんでいただけたらと思います。

読者は「好きな人」みたいな感じ。伝えたい、僕のことをわかってほしいし、同時に相手のことも知りたいと思う

――当初造型したキャラクターの表情が変わっていく、という話をされていましたが、特に変化が印象的なのは誰ですか?

宮島:全員ではあるんですけど、意外とことのは変化がないです。最初からスキスキな状態で、どんどん追い込まれてインフレしていく部分もあり(笑)、なにげにトラブルメーカーなんですけど、そこは若さゆえの、という感じですかね。他のキャラクターはどんどん変わっていくし、特に清葉はそこのギャップを感じていて、原作のほうではいろいろ変化しながら、対恋愛という意味では見どころのある子だな、と思いながら描いています。

――コミックス1巻の巻末で、「13巻で完結します」と宣言されています。ストーリーの結末は決めていらっしゃると思いますが、作品を描きながら結末に向かう過程で、当初想定していたストーリーと変わっていく部分もあるのでしょうか。

宮島:ラストに向けて描くことはそんなに変わっていないですけど、途中の恋愛模様は思っていたのとは全然違ったものになっている感じですかね。最初から「どうやって好きになるか」は決めていなくて、逆に決めているとおかしくなっちゃうと思います。そのときそのときで、キャラクターがどう思うかを考えて、その都度発見をしながら描いていくので、全然思った通りにはいってないんですが、それを楽しみながら描いています。

――宮島先生にとって、読者とはどういう存在なのでしょうか。

宮島:難しいですね……。なんか、「好きな人」みたいな感じですかね。伝えたい、僕のことをわかってほしい、みたいな部分は大きいし、同時に相手のことも知りたいと思うような感じです。不特定多数なので難しい話ではあるんですけど、「わかりあいたい」ということは、どの作品を描くときも考えています。自分の主張を、マンガを通して提案・提示してみて、それに対して面白いと言ってもらえること自体が、「わかるよ」っていう共感の返事だと思っているので、それをいっぱい集めたいと思っています。
読者と一体となれればいいんですけど、なかなか難しいじゃないですか。でも読んでくれる人がいないと描く意味がなくて、もちろん描きたくて描いてはいるんですけど、売れる・売れないは別にして、「自分はこう思うんだよ」ということに深くうなずいて共感してくれる人を探すために描いているんだろうな、と思います。それはマンガであれ、アニメであれ、いろんな角度からいろんな人に、あの手この手を使って提案してみたいんです。それで、面白いと言ってくれる人がひとりでも増えたらいいな、と思います。

――マンガを描き始めた頃から、いまおっしゃったような考えがあったんですか?

宮島:最初からではないかもしれないです。突き詰めて考えると、そうなっていったというか。若い頃は、それこそ「自分はすげえ」と思っていたり、自己顕示もあったり、お金も欲しいし、人気者にもなりたいし、誰よりも面白いマンガを描きたいとか、いろんな理由があったと思うんですけど、だんだん大人になるにつれて、そういうものは削ぎ落とされていきました(笑)。マンガを描く上でやりたいことがいっぱいあると、ブレちゃって何を表現したいのかわからなくなるんです。「売れたい」と「面白いマンガを描きたい」も、微妙に目的が違う気もするし、選択を迫られたときにどちらを優先するのかは、日々向かい合っていかないといけない。マンガを描いていて「これを捨てないといけない」と思うことが自分の中にいっぱい生まれてきて、だんだん自分が何をしたいのかを研ぎ澄ましていった結果、結局は誰にもわかってもらえない日々の葛藤や孤独を、「ひとりじゃないんだ」って思いたくて、マンガを描いているんだと思います。

――最後に、「紫雲寺家の子供たち」アニメを観る方、マンガを読まれる方に、メッセージをお願いします。

宮島:アニメになって初めて観てくれる人もいるだろうし、それをきっかけに原作を読んでくれる方もいると思います。面白いと思ってくれる人をひとりでも多く見つけたいと思っていて、アニメをきっかけにわかる!と思ってもらえること、キャラクターをかわいいと思ってもらえること、どちらも僕にとっては共感ではあるので、そういう人がひとりでも増えたらいいな、と思います。もともと「かのかり」と比べてもアニメ映えする作品だと思っているので、面白かったら面白いとぜひ発信していただいて、原作も読んでくれたらいいな、と思います。

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応募期間:
2025年4月8日(火)17:00~ 2025年4月21日(月)11:59

【賞品】
「紫雲寺家の子供たち」
作者・宮島礼吏サイン入りコミックス1巻
【当選人数】
3名さま

応募方法

©宮島礼吏・白泉社/「紫雲寺家の子供たち」製作委員会

更新日:2025年4月8日